2007年12月26日 (水)

市町村申立

年の瀬ムードいっぱいですねinJAPAN。

土曜日は月1回のADR勉強会でした。対立当事者に対してミディエーションは可能なのか…いつも思う壁です。

月曜はお客さま3組、西新行き、大先輩とともに成年後見申立のご本人に会うべく病院に行ったりしました。

成年後見の申立をすることができるのは、本人と、一定範囲の親族の方等ですが、身寄りのない方は市町村が申立てるというシステムがあります。

市町村申立をお願いしたことはないのですが、私は非常に事務的にコトが進むもんだろうと思っていましたが、先輩曰くそういうものではないようです。

しかしこのようなことは安易に進めるべきことではないので、当然といえば当然か。

本人の意思を置いといて見知らぬ他人を財産管理人に決めようといふことなんだからね。

2007年12月21日 (金)

倫理はそう簡単に守れるとは思ってませんよ

昨日のニュース?で恐縮ですが、認知症の方が遺言に書かれた、成年後見業務を担当していた方への遺贈(遺言を書いた人が亡くなった時点で効力を生じる贈与みたいなものです)350万円を受け取ったというニュースがあったようですね。

遺贈された方は社会福祉士さんということですから、職業としてこの業務を遂行していたと思われます。

もしかしたら認知症の方は、ほんとに感謝してその人に遺贈したのかもしれんね。

しかし、私ら士業は、それぞれ職業上守らなければならない倫理(行動規範みたいなもんか)を持って仕事をしなければならん、という視点で考えれば、やった仕事の対価以上のものは受け取れないでしょう。

もっと突き詰めれば差し入れとかもそうか…?…うぅぅぅ

倫理をもってストップしない限り、誰かが悪い知恵を働かせて事件を起こすかもしれません。倫理は「人間性悪説」だね。

倫理は法律ではないけど、倫理が当然に働くと思っているからこそ、お客さんがたはとても大事なものを打ち明けるのではないかにゃー。

「魔がさした」という状態を無くすことが必要。

だけど、倫理は常に唱えつつも、それでも魔がさしたりうっかりしてたりするとか、そういう場合のために、やっぱし監督指導する、もうひとつの特に組織的な目が必要かなと思う、成年後見業務。

特に任意代理はね!家裁の監督がないけんね。

司法書士はリーガルサポートという団体があり、そこで監督をしてくれたりもするのですが、なんだかいい大人なのにどうだろうかと思う人もいると思う。

でも、人というのはそんなに強くもないし(もちろんアタシもね)、この業務は「財産管理・身上監護」という、人が生きるためのお米と枕を守る仕事だから、やっぱり監督は必要だと私は思います。

いい大人がといえば最近、大人なのにTPOに全く配慮しない言い方をする方がいて、びょっくらしたことがありました(お客さんや業者さんではありませんよ)。ちょっとちょっとこっちの状況全く無視すか?…みたいな…

なんでしょうね。まあ愚痴ってもしょうがないですけどね…生姜ない…南無南無。

2007年12月17日 (月)

むりやり成年後見???

高齢だけどしっかりしている(と自分では思っているが、こちらから見ると危なっかしい)女性の方とそのお子さん。お子さんは知的しょうがいがあります。

日曜にお家に行って来ました。

年金とかの収入が多いので、どうしても成年後見等制度を利用してもらいたいのですが、本人さんらが拒否すると、なかなか強引にはできないわけです。

だれかが見守らないと危険。でも、自分で管理できると言う人から、むりやり財産を取り上げて管理するのは余計な世話よね。

どうすべ~…

ところでそのときは、地域包括支援センターの方に同行させてもらったのですが、道中で、介護支援の状況をちょこっとお聞きしました。

圧倒的に人が足りないし、ハードだな、と思いました。

国の制度不備を嘆いておられましたが、現場の声はなかなか上には届かない。年金のこともそうだけど、大臣の方は一生実感することのない事実だから、なかなか良いようには変わらないのかな。

2007年10月16日 (火)

任意代理契約考

今日は午前に後見の件で病院へ。

任意代理制度とか任意後見制度とかを、ご当人にわかりやすく説明するって難しいなあ。

簡単に言えば、「まだぼけてないけど、第三者に、主に支払とかの財産管理をやってもらう」のが任意代理。「ぼけちゃった場合に、第三者に、身上監護や財産管理をやってもらう」のが任意後見。

任意後見は、家庭裁判所が後見監督人をつけるという仕組みになっていますから、それはそれで安心です。でも、任意代理はそんな仕組みがないから、契約を作る側(私らのこと)からすると、「私たちは悪いようにするわけではありませんからね!」という部分を理解しといてもらいたいばかりに、慎重になってしまいます。

任意シリーズはそのご当人と「契約を交わす」ので、ご当人もちゃんとわかってもらっとかんといかんのだ。

こっちとしては、ちゃんと理解してくれてるだろうか~ということを確認したいがために、かなり深い話まで展開してしまうわけです。しかしあんまり言うと、ご年配の方々は「ひゃあ難しかね~こりゃ大変やね~」ってことになりますね。

ほんとのところ、その方が私らにお願いしたいことはシンプルなこと(支払いとか、通帳預かるとか)がほとんど。

契約書の条文はたくさんありますし、ぎっちり書かれています。どれもこれもやっぱし外せない、大事な条文です。

だから、説明するときにどんだけわかりやすく言えるか、そして途中で飽きられたりしないようにする方法、そんなところにも工夫が必要やなあと思ったりいたしやした。

でも、いい制度だと心から思うよ、あたしゃ。

余談ですが、本棚届いて事務所めちゃくちゃです。時間あるんだから早く片付けろっちゅう話。てへ。

2007年7月30日 (月)

介護に疲れる前に

土曜日に行ってきた、高齢者虐待防止法に関する勉強会。

65歳以上の方をいわゆる高齢者とし、身の回りの世話をしてくれる身近な人が虐待を行う場合に、高齢者をそこから守るための法律です。

虐待っつーても、積極的に暴行するとかそういうことだけじゃなくて、例えばご飯をあげないとかお風呂に入れないとかいうネグレクト(放棄)状態においたり、暴言を吐く、それから高齢者の財産を不当に処分したりすることも虐待に当てはまると定められているのです。

そして、虐待を受けていると思われる高齢者を発見した人は市町村に通報しましょう、という規定もあり、ここらへんには守秘義務を定めた法律に抵触するものではないとしています。

身体的に重大な危機があると思われる高齢者のところには、地域包括支援センターなどの職員が、立ち入り調査をすることもでき、これに協力しない人は罰金規定もあります。

もし自分が「やめてよ」とか言えない立場に置かれた時に、苦しい目に遭うと考えたらぞーっとします。

だから、こういう法律によって、少しでも救済が行われるのであればとてもよいことです。

でも、研修のなかでもデータが示されていたのですが、虐待を行う本人が、何らかのトラブルを抱えている人が多いのです。

介護疲れ、お金の問題、依存症の問題などなど。

八方塞りだーと思えば、やつあたりをしたい気持ちもわかるのぅ…

でも、虐待者の方の悩みも、市町村や福祉関係者や私らが何らか解決できることも多いと思います。

いきづまる前に、例えば近くの「地域包括支援センター」に相談してみることをおすすめします。

「地域包括支援センター」には、高齢者の人たちが住みなれた地域で安心して暮らせる仕組みづくりを専門家とチームを組んで手伝おうという行政組織です。福岡市だけでも28箇所あるみたいです。

2007年7月26日 (木)

後見人のお仕事

今日は午前に家裁へ行き、補助の申立てにつきそいました。

そして一昨日提出した後見申立の審判が出てました。たった中一日です。

後見申立には審判確定までに数ヶ月かかるといわれていますが、鑑定不要であったり親族の意向に問題がないと判断されれば非常にスピーディな審判がなされることもあるようですね。

後見・保佐・補助人が審判によって選任された後は、家庭裁判所の監督のもと、財産管理や身上監護を行っていきますので、本来ならばできるだけ早く審判をしていただいて、ご本人の保護が図られることがベストなわけですから、早い審判はとても素晴らしいことだと思います。

たとえば、後見などの申立をする場合、後見人になろうとするいわゆる後見人候補者は、親族であることも多いものです。

親族の方というのは、特に同居をしていたりすると、みんなのお財布が一緒になっている場合がほとんどだったりします。

しかし、裁判所の監督の下で行われる後見業務においては、本人の財産はしっかり分別して管理しなくてはなりませんし、そこから使われるお金も、本人に必要とされる部分だけです。

ですから、たとえば「おばあちゃんはいつも孫たちにお年玉をやりよった」ということで、被後見人となったおばあちゃんのお財布から勝手にお年玉を取ってしまってはいけません。

このように、親族後見の場合は、その辺のより分けがとても大事になってきますが、そのようなとまどいも、質問すれば後見制度の趣旨に見合うよう、家庭裁判所が判断してくれます。

後見制度というのは、被後見人などになられた「ご本人」の「財産と身上」を保護する制度であり、それはとういうことかというと、「今ある状態をキープすること」が目的なのです。だから財産は安易に減らしてはいけない。その趣旨を理解されることがとっても大事なことと思います。

2007年6月 5日 (火)

社団法人成年後見センター・リーガルサポート

夕方からリーガルサポートの会議に参加しました。

リーガルと言ってますが、正式名称は「社団法人成年後見センター・リーガルサポート」というのです。

今を遡ること22年前に、日本司法書士会連合会(全国の司法書士を束ねている組織ですね)が、はじめて市民対象のシンポジウムを行い、そのとき、認知症の方を支援する後見人を養成する組織を作る必要性がある、と感じたんだそうです。

んで、成年後見先進国である欧米の制度を視察したり、日本全国の司法書士会でシンポジウムなどを行い、高齢者や障がい者の方の権利擁護活動を展開して、99年、このリーガルサポートが誕生したのです。

このリーガルサポートは、司法書士の会員のみで構成され、一定の研修を履修した会員だけが、家庭裁判所に提出する「後見人候補者名簿」に載せるというものです。この名簿登載は登載から2年ごとに更新されるため、随時、会員は研修を受け続けなければならないのです。

リーガルサポートは、都道府県に1つずつ(北海道は4つ)の支部を設置して、地域の方々の身近な支援機関として活動しているのです。

成年後見制度というのは、その方の財産管理を含む、とっても重大な権利を守るための民法の制度です。

制度のしくみについて、いまひとつわからん、という方も多いと思います。そんなときは、近くのリーガルサポートに相談してみてはいかがでしょうか。

リーガルサポート福岡支部の無料電話相談は毎週月~金の13時~15時 092-738-7050 です。(有料面談相談もあります)

2007年5月 1日 (火)

成年後見制度に対する理解を…

GWなか日の今日は通常業務でした。

相談を受けたり受任したり通知を送ったりという日。夕方からはリーガルサポートの会議に参加してきました。

任意後見制度を悪用する事件が、また発覚したようですね(昨日か)。

成年後見制度の認知が高まっていますが、このような事件があると、制度自体が危険なイメージをもたれたり、誤解を生じてしまったりすることがありますので、そういうことは問題です。

幅広い方々に、この制度をわかりやすく説明する勉強会なども、リーガルサポートでは随時開催しています。

今日の会議の中にも発言があったのですが、まだ、このような勉強会等には、ケアマネージャーさんや介護福祉士さんなどの専門職の方が多く、一般の方々の参加はまだ少ないようです。

いろんな人が、この制度に対して、もっと理解を深めていただけるよう、私も努力せねばなりません。

2007年4月 9日 (月)

地域福祉権利擁護事業と成年後見

日経新聞で紹介されていた、「成年後見」とかまでは不要な人へのサービス。先日、熊本の同期氏が言ってたのはこれかなーと思いつつ読みました。

金銭や重要財産を管理する能力については不安なところも多いけど、まだまだ認知力ははっきりしておられる方に対し、市区町村の「社会福祉協議会」という非営利の民間組織が、日常的な金銭管理や、重要財産(権利証や印鑑、通帳など)の保管などを代行してくれるというものです。

それとともに、訪問による見守りを行ってくれたりして、万が一、認知症が進行してきた場合に、後見制度へスムーズに移行できるような橋渡しをしてくれたりするのです。

ただ、多額の金銭を扱ったり、不動産を売却したり、老人ホームなどと契約したりするような重要な法律行為はできません。

最近のサービスっぽいですが、実は1999年に導入されているらしいので、えらい先駆けてますね。

国が補助金を出しているので、比較的廉価で利用できるというのもよいです。

この制度を利用するのに重要なことは、「本人が自分の意思で、この制度を利用するための契約を締結することができる」というところです。

しかし、最近それこそ悪質商法などが高齢の方々を中心にはびこっていて、防ぎようにも、自分だけの力ではどうしようもないこともあるようです。販売者に情が移ってしまったり、ほんとうに気づかずに多額の契約を結んだり…。

でも、大事なお金ですから、失うと物理的に、かつ心理的にもダメージが大きいものです。そうならないように、うまくこのような制度を利用できたらいいのでは、と思います。

2007年1月19日 (金)

任意後見か法定後見か

お昼から、任意後見契約の件でお出かけ。

任意後見契約というのは、まだご本人さんの意思能力のあるうちに、そのご本人の意思能力が将来減退したときに備えて、あらかじめ、親族や司法書士等に「そのときは財産管理を任せますのでよろしく」という契約を、ご本人と親族or司法書士等と結んでおく「契約」です。

契約ですから、契約締結の時点では、お互い意思能力がちゃんとあることが大前提ですね。そして、契約の内容をしっかり理解した上で、公証役場に行って、公証人の面前で契約公正証書を作るという流れになってます。

これに対して、法定後見の申立てというのは、ご本人さんの意思は必要ではありません。意思能力の減退があるという医師の診断書等を添付して、後見・保佐・補助いずれかの類型にあてはまると裁判所が判断すれば、OKです。

ご本人さんの意思は必要ない分、後見人が選任されれば、ご本人さんの法律行為はほとんど後見人ができるようになるわけですから、悪用されないよう、その審判は慎重に行わなければなりません。

例えば、「任意後見契約で行きましょう」ということで打ち合わせや作業が進んでいても、状況によってはイチからやり直さなくてはならないのは、後見業務に限ったことじゃありません。でも、後見はご本人の一生を大きく変える手続きですから、最後の最後まで「これでいいんかな?」というクエスチョンをもってやってくことが大事なんだなあと考えております。

注:上記の文章中、「法定後見申立の場合はご本人さんの意思は必要ない」という一文がありますが、これは、あくまでも意思能力の減退・欠如がある方について、申立が可能でありという意味で、ご本人さんの意思能力がはっきりしているのに、例えばその人が頑固でなかなか任意後見契約を結びたくないみたいだけど、周囲の人間がご本人さんの将来のことを思って、勝手に申立ができるというワケではありませんよ!!

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