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2006年7月31日 (月)

ゴジョウ

今日は、土地の所有権移転登記の依頼がきました。仲介業者さんとの打ち合わせ中に、その方が「ゴジョウが出るんで…」と数回おっしゃったので、気になった私は、

「すいませんけど、ゴジョウってなんですか?」

と聞いてしまったわけです。(司法書士なら、ここで「あっちゃー」と思っていただけたことでしょう)

相手の方の血の気が一瞬、引いたようになり、「あ、農地法の…」とおっしゃいました。

「あーっ農地法5条ですよね!?」と言ってみたけど、ちょっと遅かったかもしれません。せっかく初めて仕事を持ってきていただいたのに、きっとその方の頭の中では、「この人に頼んで果たして大丈夫なのだろうか」という不安が一気に広がったことでしょう。

持ってきていただいた登記事項証明書を見て地目が「畑」の時点で、こっちから「アラ~農地法の許可は?」とすかさず聞くくらいの余裕がないとダメなんですよね。

いやみなさん、5条許可のこと知らないわけではないんですよ!ただ、アタマに「農地法」ってつけてほしかったナ…なんて…。

2006年7月28日 (金)

上告審で敷引無効判決

納得いかないけど、「そんなもんなんだろう」とあきらめてしまう「敷金返還」…最近、上告審で、敷引(退去時に返還されない敷金の額をあらかじめ契約の時に定めておくこと)の無効判決が出たそうです。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200607260199.html

裁判というのは三審制度で、「原審」で出た判決に納得いかなかったら「控訴審」、さらに納得いかなかったら「上告審」まで審議してもらえる仕組みになってます。「上告審」は二審めまでとは違い、二審までの判決が違法でないかという視点で審議され、上告審で出た判決は、二審判決を支持するにしろ、逆の場合にしろ、今後同様の事例に対する判例として、非常に重要なものになります。

さて、今回の敷引無効判決、どうやら敷引特約自体は慣例もあって有効だけど、敷引額が賃料の6ヶ月分だったというあたりが、消費者契約法10条に反して無効とされているようですね。(つまり「敷引特約」がいついかなる時も無効!というわけではない)。このような判例が出ることによるメリットは、「返還交渉の際に強気に出ることができる」「裁判をした場合に勝訴度がアップする」「賃貸借業界が契約の仕方を見直す」というところでしょうか。

敷金返還問題については、最近は新聞記事等で紹介されていたりするためか、みなさんの関心も高く、「敷金トラブル110番」という電話相談会を有志で開くと、鳴りっぱなしというくらいたくさんの電話がかかってきます。「契約書はこうなっているけど、消費者契約法があるから、私の敷金は返ってくるんでしょう?」と。

これが、なかなかそうはいかないんですよね。
1.「故意過失の損害や滞納家賃がなければ敷金は返ってくるものだ」という原則
2.当事者同士の契約は民法の「私的自治の原則」があるから有効
この2つが相反して存在しつつ、契約時の状況や賃貸借業界の慣習、借主の部屋の使い方etcがないまぜになっているので、フツーに管理会社に「消費者契約法で特約も無効だから返してね」と言っても「いやいやいや…」というような押し問答が繰り広げられるのがオチです。(なかには、本当にちゃんとした業者さんもありますよ~念のため)

だから、入居の際には契約内容をしっかり確認し、入退去の際に物件のチェックをちゃんとして、無茶な使い方をしないように気をつけて、敷金返還を請求するときに堂々とできるよう準備しておくことが大事です。自分の権利ばっかり主張しても、退去した後なので部屋をちゃんと使った証拠もない…では主張は通りづらいものです。

ちなみに、敷金返還請求の相手方はあくまでも大家(家主・オーナーさん)であって、管理会社でも仲介業者でもありません。したがって管理会社が煮え切らないときは大家さんと直接やりとりをしてみると一歩前進するかもしれません。もうひとつ、敷金返還請求権は部屋を明け渡して(カギの返還のこと)から初めて発生する権利です。退去前に主張の仕方を間違えないように気をつけたほうがいい場合もあるかもです。

親切な業者さんも多いので、部屋を借りるときは、良い物件だけでなく、良い不動産屋さんも選ぶんだという気持ちでいれば、その後の賃貸借ライフもきっと快適になるはずです。

2006年7月27日 (木)

オーナー会社の税制改正

先週、司法書士会の支部で開催された、「会社法に基づく計算書類の変更と18年度税制改正について」という勉強会に参加してきました。会場内はたくさんの人で埋まっていましたが(なんでも申込みが殺到したので広い会場に変更したという…)、たぶんみんな、事前告知に書かれていた「以前この方の講義を聴いたことがあるが、あまりのわかりやすさに感動した」というフレーズに惹かれたにちがいありません。まさに私がそうですから。

 話の中で気になったことは、「オーナー会社の役員給与の税規制」がけっこう厳しくなったことで、会社設立イコール節税という図式がかならずしもあてはまらなくなった部分です。

 これまで、法人所得への課税は、法人収入から経費とオーナーの給与を差し引いたところに法人税がかけられていて、オーナーの給与には課税されません。
 次に、オーナーの給与収入への課税は、給与収入総額から収入金額にあわせた控除額を差し引いて、そこに所得税がかけられていました。
 つまり、会社組織にしてオーナーに給与を支給した方が、個人形態で事業所得(このなかに個人の所得も含まれている)にまるっと税金をかけられるよりも、給与所得控除分だけ所得を少なくすることができたのです。

 会社法によって会社設立が簡易になったことで、節税対策として会社を設立する人も増えることが予想されますが、平成18年4月1日以降に開始する事業年度からは、これまでのようにオーナー給与を法人収入から控除できない規制ができてしまったのです。

 そこで、自分のところが「オーナー会社」なのかどうか?基準は…
 1.オーナー及び同族が90パーセント以上の株式を所有 
 2.常勤役員に占めるオーナー及び同族関係者の割合が50パーセントを超える
 だそうです。一応、適用除外もあるそうですし、また「同族」ってどのへんよ?と気になる方もいらっしゃると思いますが、詳細及び対応策は税理士や公認会計士に聞いてみたほうがいいでしょう。

 しかし、節税対策というのはどういう場面でも気になるところでしょう。やっぱり無駄なお金は使いたくないですもんね。でも紙一重で「脱税」にもなりかねませんので、わからないところは専門家に尋ねるほうが安心だと思います。

先を見越して

 昨日は、新しくなった会員証を受け取りに、福岡県司法書士会の事務局に行きました。で、この事務局のスタッフの皆さんというのが、とっても教育が行き届いているというか、いつも丁寧かつにこやかで、私はいつもちょっと感動します。

 今日も会員証受け取りのほかに、あるスタッフの方に少々無理な用事をお願いしていたのですが、あいにくそのスタッフは見当たらなかったので、対応してくれた別の方にそのことを言おうかなと思った矢先、その方は「○○は休みなので、○○の件は来週以降にもう一度連絡してもらってよいですか?」と言われたのです。

 書いてるだけだと「あたりまえじゃん」という感じもしないでもないですが、私が今日事務局に行くかどうかはまったくわからないはずなのに、この回答。しかもそのような応対があのちょっとゆるめの雰囲気のなかで当然のごとく行われているので、「なんかすごい」と思ってしまうのです。一歩先を見通したホスピタリティというか…。

 この事務局のスタッフさんたちは、私たちが合格して初めて資料を取りに行ったあたりから、もうすでに顔と名前を一致させていて、その時点で「この事務局はちゃんとしている」と刷り込まれてしまうのかもしれません。

 名前を覚えてくれるというのは、それだけで印象がアップするもののようです。かくいう私はつい最近、事務所の内装をしていただいた方にお会いするも、自分が目下やっていることでイッパイになって、すぐにご挨拶をできず、その後猛省した苦い経験があります。

 「最近人の名前をよく忘れて…」などと老け込んだようなことを言って甘えず、しっかりと顔と名前を覚えて、ちゃんとごあいさつできなければイカンと肝に銘じた次第です。

2006年7月25日 (火)

債務整理をしたい。でも費用が…

 司法書士は債務整理を業務として行うことができます。お金のことで困窮されている方なので、費用についてはとても関心があると思います。そして、提示された金額を見たり聞いたりして「とても払えない…」と思って、手続に対してしり込みをなさっている方も多いのではないでしょうか?

 でも、お仕事をされている方であれば、それなりの収入があり、そこから月々の返済を行っているはずです。債務整理について司法書士などの専門家に委任することで、私たちはいわゆる「介入通知」という文書を業者に送付します。そうすると、とりあえず取立て等の行為がストップしますので、収入のなかから費用等を見積もることができるようになります。

ただし、その後いつまでも債務整理手続が進まないと、業者も業を煮やしてきますので、一度債務整理を目指したら、絶対にやり遂げる強い意志が必要になります。何も難しいことを要求されるわけではありませんので、悩んでいらっしゃる方は、お近くの司法書士などに相談なさることをおすすめします。

手続をせずに約定利息を払い続け、いつまでも光の見えない気分で暮らすより、気持ちを切り替えて、前向きに生きるチャンスをつかんでください!!

また、収入が低額であったり、生活保護を受けていらっしゃる方であれば、「法律扶助」というシステムを利用することができる場合もあります。

これは、民事裁判手続や裁判所に提出する書類作成を、弁護士や司法書士が代理して行う場合に、(財)民事法律扶助協会というところが、その費用(印紙代10290円だけは、必ずご本人で用意していただきます)を立て替えてくれるものです(後から毎月5000円くらいずつ返済していきます)。この制度を利用する場合には、一定の資力要件などに当てはまることが必要なのですが、困っていらっしゃる方はぜひ司法書士等に相談してみてください。単純に要件に当てはまらなくても、特別の事情があれば、審査に通る場合もありますよ。

今日も福岡市は雨がひどいです。福岡県司法書士会の事務局に新しくなった会員証(事務所開業したので)を取りに行きたかったのですが、天気の悪さについ二の足を踏んでしまいました。

2006年7月24日 (月)

独立・開業しました。

 先週、司法書士事務所を地元で開業したばかりで、どうやって営業をやっていこうかと知り合いの司法書士に相談したりしていたら、「タウンページが意外にいいよ」というのを聞いて、なら私もとさっそく116に「載せてください!」と電話したのですが…

なんと、福岡県エリアはもう印刷が終わってるらしいです。

 当然、「昨年から一年待ったんじゃ!はよ出せ!」などという今の私のような方もいらっしゃるわけですから、どこの時点で出そうと、タイミングが合うかどうかはまさにそのときの運みたいなもんですね。

 とりあえず暇だし、HPはやりかたよくわかんないので、まずはブログでも立ち上げて練習してみようと思ったわけです。

 開業して一週間ですが、先週は一応、銀行や不動産屋さんなどを回ったりしてみました。もちろん、こういう動きは今後もやっていくべきなのですが、やみくもに回っても効率が悪いし、しかも相手の心に響いたふうな気もしなかったので、営業方法とか、それ以前の「誰と仕事をしたいのか」「どういう事務所になりたいのか」を考えて、もっと筋道を立てて動かなければならないな、と思うにいたりまして。

 今日は天気も悪いので、そのあたりをもうちょっと考えて、早く事務所経営を軌道に乗せんといかんなあ…となどと考えております。

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